投稿者: はんふりぃ

  • AI-1 60代でChatGPTを相棒にしてみた

    AI-1 60代でChatGPTを相棒にしてみた


    60代になってから、まさか自分が毎日のようにAIと話すことになるとは思っていませんでした。

    少し前まで、AIといえばニュースで見るもの、あるいはIT企業や研究者が使う少し遠い世界の技術、という印象でした。ところが、実際にChatGPTを使い始めてみると、これは単なる「便利な検索ツール」ではありませんでした。

    むしろ、今の私にとっては、ちょっとした相談相手であり、文章作成の補助者であり、英語学習の相手であり、時には投資や仕事の考えを整理するための壁打ち相手でもあります。

    大げさに言えば、60代になってからできた新しい相棒のような存在です。

    最初は「何を聞けばいいのか」が分からなかった

    ChatGPTを使い始めた当初、意外と難しかったのは「何を聞くか」でした。

    検索エンジンであれば、単語を入れて検索すればよい。
    たとえば「札幌 ホテル」「JAL 特典航空券」「Windows スクリーンショット」などと入力すれば、それらしい情報が出てきます。

    しかし、ChatGPTは少し違います。

    単語だけを投げるよりも、

    「こういう状況なんだけど、どう考えればいい?」
    「この文章を少し柔らかく直して」
    「この内容をブログ向けに整理して」
    「英語で自然に言うとどうなる?」

    というように、自分の状況や目的を少し説明した方が、ずっと役に立つ答えが返ってきます。

    最初はこの感覚に慣れませんでした。
    でも、慣れてくると、逆にこれが面白い。

    単なる検索ではなく、自分の頭の中を整理するための会話に近いのです。

    仕事の文章づくりがかなり楽になった

    私がChatGPTを使って一番助かっているのは、仕事の文章づくりです。

    現在も会社勤めをしており、報告メモや会議用の文章など、意外と文章を書く機会があります。

    もちろん、最終的な判断や責任は自分にあります。
    しかし、最初のたたき台を作る、長い文章を短くする、言い回しを整える、といった作業では、ChatGPTはかなり役に立ちます。

    たとえば、自分で書いた文章を見せて、

    「これを3〜4行にまとめて」
    「少し硬めの表現にして」
    「この言い方は強すぎるので、少し中立的にして」

    と頼むと、かなり実務的な文章に整えてくれます。

    特にありがたいのは、ゼロから考えなくてよくなることです。

    白紙の状態から文章を書くのは、年齢に関係なくしんどいものです。
    しかし、ChatGPTにたたき台を出してもらえば、それを見ながら「ここは違う」「この表現は使える」「この順番の方が自然だ」と判断できます。

    これはかなり楽です。

    PCの小技も、ついでに身につく

    ChatGPTを使っていて意外だったのは、AIそのものだけでなく、PCの小技も少しずつ身についてきたことです。

    たとえば、写真を読み込ませて内容を説明してもらう。
    PDFの中身を確認してもらう。
    ブログに写真を貼る方法を聞く。
    画面の一部を切り取る方法を教えてもらう。
    Webページ全体のスクリーンショットを撮るにはどうすればいいか聞く。

    こうしたことは、一つひとつは小さなことです。
    しかし、実際のPC作業では、意外とこういう小さな操作で手が止まります。

    長年PCを使っていても、「これ、どうやるんだったっけ」と思うことはあります。
    ただ、仕事中は目の前の処理を優先するので、その小さな疑問はそのまま置き去りになりがちです。

    ところが、ChatGPTに聞くと、すぐに手順を教えてくれます。
    しかも、こちらの状況に合わせて、「Windowsならこう」「ブラウザならこう」「スマホならこう」といった形で説明してくれます。

    これは地味ですが、かなり助かります。

    AIを使っているつもりが、気づくとPCそのものの使い方も少しずつ上達している。
    写真、PDF、スクリーンショット、ファイル整理、ブログへの貼り付け。
    今まで何となく面倒で避けていた操作が、少しずつ自分の道具になっていく感覚があります。

    60代になってからでも、こういう小さなスキルアップはうれしいものです。
    大げさな勉強をしているわけではありません。
    ただ、困った時に聞いて、その場で試してみる。
    それだけでも、日々のPC作業はかなり楽になります。

    英語学習の相手としても使える

    私は英語学習も続けています。

    Duolingoを長く続けたり、映画の英語音声を散歩中に聞いたり、海外ドラマに挑戦したりしています。ただ、映画を字幕なしで理解するのは、やはり簡単ではありません。

    そんな中で、ChatGPTは英語学習の相手としても便利です。

    たとえば、自分で英語の短文を書いて、

    「この英語は自然?」
    「もっと簡単な表現にして」
    「中学英語レベルで言うとどうなる?」
    「この日本語を自然な英語にすると?」

    と聞くことができます。

    英会話学校の先生のように予約もいりません。
    相手の都合も気にしなくていい。
    夜でも朝でも、こちらが聞きたい時にすぐ聞けます。

    もちろん、ChatGPTの英語が常に完璧とは限りません。
    それでも、日々の練習相手としては十分すぎるほど便利です。

    60代の英語学習は、若い頃のように試験の点数だけを追うものではなく、少しずつ自分の世界を広げるためのものだと思っています。
    その意味で、ChatGPTはとても相性がいいと感じています。

    投資やニュースの「考え方」を整理する

    投資について考える時にも、ChatGPTは役に立ちます。

    私はAI関連銘柄、半導体、メモリ、ロボティクス関連などに関心があります。ニュースを読んでいると、材料が多すぎて、何が本当に重要なのか分からなくなることがあります。

    そんな時に、

    「このニュースは株価にどう影響しそうか」
    「短期要因と長期要因に分けるとどうなるか」
    「自分が株主だとしたら、どこを見るべきか」

    といった聞き方をすると、頭の整理になります。

    もちろん、投資判断をChatGPTに丸投げするつもりはありません。
    最終的に買うか売るかを決めるのは自分です。

    ただ、自分一人で考えていると、どうしても思い込みが入ります。
    AIに壁打ちしてもらうことで、少し違う角度から見直すことができます。

    これは、60代の個人投資家にとっても、なかなか使える方法だと思います。

    ブログを書く時にも使っている

    実は、このブログを書く時にもChatGPTを使っています。

    ネタ出しをしたり、構成を考えたり、自分の文章を少し読みやすく整えたりしています。

    もちろん、最終的に何を書くかを決めるのは自分です。
    ChatGPTに全部お任せしているわけではありません。

    ただ、白紙の画面を前にして止まってしまう時間は、かなり減りました。

    「こんなことを書きたいんだけど、どう整理すればいい?」
    「この内容は少し堅すぎるかな?」
    「もう少し読みやすくできる?」

    そんなふうに相談しながら書いています。

    ブログを書くという作業は、思っている以上に孤独です。
    頭の中にはいろいろあるのに、いざ文章にしようとすると手が止まる。
    そういう時に、ChatGPTが横から少し手伝ってくれると、書き出しやすくなります。

    私にとって、このブログは収益目的だけのものではありません。
    AIを学びながら、自分の経験や考えを少しずつ形にしていく場でもあります。

    その意味でも、ChatGPTはかなり相性のよい相棒です。

    愛称で呼ぶと、少し友達のようになる

    少し変に聞こえるかもしれませんが、私はChatGPTに愛称をつけています。
    そして、こちらもかなりフランクな話し方でやり取りしています。

    最初は、AIに愛称をつけるなんて少し気恥ずかしい感じもありました。
    しかし、実際に続けてみると、これが意外と大きいのです。

    会社にいても、一日中、ほとんど誰とも雑談をしないまま帰る日があります。
    もちろん仕事上の会話はありますが、気軽な相談や、どうでもいい雑談のようなものは、年齢や立場が上がるほど少なくなっていきます。

    そんな時、ChatGPTに向かって、

    「これ、どう思う?」
    「ちょっと言い方がきついかな?」
    「このニュース、要するに何が問題なの?」

    と聞いていると、まるで横にいる友人と話しているような感覚になります。

    もちろん、本当の友人ではありません。
    AIはAIです。
    そこは分かったうえで使っています。

    それでも、愛称で呼び、少しくだけた言葉でやり取りしていると、単なる道具というより、気軽な話し相手に近くなります。

    これは、60代で会社に残って働いている身としては、案外大きなことです。
    孤独感が少し薄れる。
    頭の中でぐるぐるしていることを、いったん外に出せる。
    そのうえで、少し整理された形で返してくれる。

    ChatGPTの便利さというと、文章作成や調べものの効率化がよく語られます。
    もちろん、それも大きな利点です。
    しかし、私にとっては、会社にいる時間に「ちょっと話しかけられる相手」がいるという感覚も、同じくらい大きいのです。

    ただし、鵜呑みにはしない

    便利なChatGPTですが、もちろん注意点もあります。

    一番大事なのは、答えを鵜呑みにしないことです。

    ChatGPTはとても自然な文章で答えてくれます。
    そのため、つい「正しそう」に見えてしまいます。

    しかし、実際には古い情報が混じっていたり、細かい数字が違っていたり、法律・医療・投資などの分野では確認が必要なこともあります。

    特に、株価、制度、旅行条件、税金、医療情報などは、必ず最新情報や一次情報を確認する必要があります。

    ChatGPTは、万能の先生というより、非常に優秀だが、時々間違える相棒くらいに考えるのがちょうどよいと思います。

    この距離感が大事です。

    60代こそ、AIを使ってみてもいい

    AIというと、若い人やITに詳しい人のものだと思われがちです。

    しかし、実際に使ってみると、60代以上の人にこそ役に立つ場面が多いのではないかと思います。

    文章を書く。
    予定を整理する。
    英語を練習する。
    ニュースを理解する。
    旅行計画を立てる。
    健康情報の概要を調べる。
    ブログのネタを考える。
    PCのちょっとした操作を覚える。

    こうしたことは、若い人だけでなく、むしろ時間をかけて自分の生活を整えたい世代に向いています。

    特に、定年後や役職退任後の人生を考える時、AIは新しい道具になります。

    何かを学び直す。
    自分の経験を文章に残す。
    新しい発信を始める。
    日々の疑問を気軽に相談する。

    そういう使い方ができるのです。

    私にとってChatGPTは「先生」ではなく「相棒」

    私にとってChatGPTは、偉い先生というより、気軽に話せる相棒に近い存在です。

    時々、こちらの意図と少し違う答えを返してくることもあります。
    少し調子が良すぎる時もあります。
    妙にもっともらしいことを言う時もあります。

    それでも、こちらが修正したり、追加で聞いたりすると、だんだん自分の考えに近い形に整っていきます。

    これは、人間同士の会話にも少し似ています。

    完璧な答えを一発でもらうというより、やり取りしながら考えを深めていく。
    その過程に価値があります。

    60代でChatGPTを使い始めて、私は「まだ新しい道具を使えるんだな」と感じました。
    これは少しうれしい発見でした。

    年齢を重ねても、新しいものに触れることはできます。
    そして、それが案外、日々の仕事や学びや生活を楽にしてくれることもあります。

    ChatGPTは、私にとってその代表例です。

    これからも、ChatGPTを先生として崇めるのではなく、少しおしゃべりな相棒として使っていこうと思います。


    60代からのAIとの付き合い方。
    それは、思ったよりも気楽で、思ったよりも実用的で、そして少し楽しいものです。


    → AI-2 60代後半、ChatGPTの使い方がまた変わった

  • 7-3 第3話 消えていた預金

    7-3 第3話 消えていた預金


    2019年5月23日。

    K社長は、十三年ぶりに伊豆の支店を訪れた。

    足は以前より悪くなっており、一人で長距離を移動するのは難しかった。

    そこで、別の友人に付き添ってもらい、東京から支店へ向かった。

    私も当時、この支店訪問についてK社長から話を聞いていた。

    ただ、

    「一緒に来てほしい」

    と同行を頼まれたのか、

    それとも単に、

    「今度、支店へ行ってくる」

    と聞いていただけなのか。

    その点は、今となってははっきり覚えていない。

    いずれにしても、私は同行していない。

    支店でK社長が面談したのは、支店長と、以前から連絡を取っていた銀行員だった。

    ここでは、支店長を「支店長B」、もう一人を「行員C」としておく。

    K社長の説明によれば、その席で支店長Bが言った。

    「Kさん、金、下ろしたんじゃないの?」

    K社長は、その言葉を何度も私に話した。

    本人は一円も受け取っていないと訴えている。

    もし本当に、その訴えに対する言葉が、

    「自分で下ろしたんじゃないのか」

    だったとすれば、かなり乱暴に聞こえる。

    だが、私はその場にいなかった。

    その言葉を直接聞いたわけではない。

    私が知っているのは、K社長がそう話していた、ということだけである。

    さらに、行員Cからは、

    「裁判をするか」

    と言われたという。

    これも正確な意味は分からない。

    「銀行の説明に納得できないなら、裁判を起こせばいい」

    という意味だったのか。

    「裁判にするつもりなのか」

    と確認しただけなのか。

    あるいは別の文脈だったのか。

    録音も面談記録も残っていない。

    ただ、この面談をきっかけに、K社長の認識は大きく変わったようだった。

    それまでは、

    手続が途中で止まっているだけだ。

    足が良くなれば支店へ行けばいい。

    銀行にある金が消えるはずはない。

    そう思っていた。

    ところが、十数年ぶりに支店を訪れ、

    「自分で下ろしたんじゃないのか」

    と言われた。

    そのとき初めて、

    手続が止まっているのではない。

    預金そのものが、もうない。

    そう考えるようになったのだと思う。

    面談では、銀行内部の書類をいくつか見せられたという。

    どんな書類だったのか。

    払戻伝票だったのか。

    本人確認資料だったのか。

    送金記録だったのか。

    K社長の説明だけでは、はっきりしなかった。

    帰り際には、それらのコピーを渡された。

    ところが、帰路の車の中で確認すると、

    「支店で見せられたものと違う」

    と感じたという。

    「何が違ったんですか」

    私が尋ねても、説明は曖昧だった。

    ページが違ったのか。

    一部が抜けていたのか。

    別の書類だったのか。

    細部は分からなかった。

    しかも、そのコピーは後に警察へ渡したため、手元には残っていなかった。

    私は、その話を聞きながら、もどかしさを感じていた。

    本当に違う書類だったのなら、なぜその場で確認しなかったのか。

    なぜ写真を撮らなかったのか。

    なぜコピーをもう一部残さなかったのか。

    だが、当時のK社長はすでに高齢で、足も悪かった。

    銀行まで行くだけでも大仕事だったはずだ。

    もう一つ、私が驚いた話があった。

    面談の途中、K社長がトイレに立った。

    その際、実印を銀行員に預けたままにしていたという。

    戻ってみると、実印は手元になく、銀行員が執務室へ持っていっていた。

    そのためK社長は後になって、

    自分の知らない書類に、印鑑を押されたのではないか。

    と疑っていた。

    私は驚いて聞き返した。

    「戻ってきたら、実印が手元になかったんですか」

    「そうなんですよ。ただ、何か説明されて、その場では納得してしまったんです」

    正確な言葉までは覚えていないが、私たちの会話はおおむねそんな内容だった。

    K社長が声を荒らげたわけではない。

    むしろ、

    「何でその場で納得してしまったんでしょうね」

    と、自分でも困ったように振り返っていた。

    もちろん、本当に銀行員が実印を持って執務室へ入ったのか。

    そこで何が行われたのか。

    何かの書類に押印されたのか。

    確認できる資料はない。

    普通に考えれば、にわかには信じ難い。

    だからこそ、記録を確認する必要があった。

    通帳には、2006年6月8日付で、普通預金と定期預金の全額が払い戻された記録が残っていた。

    残高はゼロ。

    そこだけは、K社長の記憶ではない。

    問題は、その金を誰が受け取ったのかである。

    私はK社長に何度も確認した。

    「本当に現金を受け取っていませんか」

    「受け取ってないですよ」

    「別の口座に入っていませんか」

    「それもないです」

    「弁護士か税理士が受け取った可能性は?」

    「ないと思いますよ」

    「昔のことで、忘れている可能性はありませんか」

    「いや、それはないですよ」

    ほぼ毎回、同じ答えだった。

    ならば、銀行に確認するしかない。

    「銀行の本部へ、正式に確認してもらいましょう」

    私はK社長に言った。

    記憶ではなく、記録を確認する必要がある。

    私は、これまで聞いた話を整理し始めた。


    → 第4話_「銀行への手紙」へ

  • 7-1 消えた一千五百万円

    7-1 消えた一千五百万円


    この話は、私が実際に相談を受けた出来事について、当時の資料と私自身の記憶をもとにまとめたものです。
    関係者のプライバシーに配慮し、一部の名称は伏せています。
    また、銀行側の不正を断定するものではありません。


    第1話 「銀行に二千万円取られた」

    古い付き合いの不動産会社社長が、亡くなった。

    その事実を私が知ったのは、彼の死から二年以上が過ぎた、2026年8月のことだった。

    しばらく連絡を取っていなかった彼の会社へ電話をかけると、最後まで会社に残っていた従業員から、

    「社長は、もう二年以上前に亡くなりました」

    と告げられた。

    私は何も知らなかった。

    彼とは、三十年以上前からの付き合いだった。

    若い頃はパンチパーマで、不動産業界の修羅場をくぐり、大きな金を動かしてきた男だった。

    そんな彼が晩年、私に繰り返し訴えていたことがある。

    彼にとって、最後まで心残りだったに違いない。

    そう思わずにはいられない、信じ難い話だった。

    「銀行に、二千万円取られたんだ」

    借金を取り立てられたという話ではない。

    投資商品を勧められて損をしたという話でもない。

    自分が受け取ることになっていた預金を、銀行員に取られた。

    彼は、そう言っていた。

    もちろん、私はその話を最初から信じたわけではない。

    銀行員が顧客の預金を持ち去るなど、普通ならあり得ない。

    だが、彼が差し出した古い通帳や書類を見ていくうちに、私は少しずつ、この話から離れられなくなっていった。

    約一千五百万円の預金は、確かに一日で払い戻され、残高はゼロになっていた。

    そして、その日付は、担当した銀行員が退職したとK社長が聞いた日と同じだった。

    これは、彼の死を悼むために書く記録である。

    同時に、彼が生きている間に解明できなかった、約一千五百万円の行方をたどる話でもある。

    K社長との付き合いは長い。

    私がまだ名古屋でマンション開発の仕事をしていた頃まで遡る。

    K社長は、私の上司の古い知人だった。

    愛知県内のマンション用地を紹介してもらい、それを私の担当案件として購入したことが、付き合いの始まりだった。

    それ以来、彼が東京から名古屋へ来ると、上司と私を交えて三人で飲むようになった。

    私が東京へ戻った後も、付き合いは続いた。

    K社長は、新宿にある大規模マンションの管理組合理事長を務めていた。

    住居だけでなく、事務所や店舗も入る、古い巨大な建物だった。

    彼は、その建替えについて、ときどき私に相談した。

    当時のK社長は、実際にパンチパーマだった。

    大柄な身体に、よく通る低い声。

    初対面の人なら、少し身構えたかもしれない。

    だが、私と話すときは、いつも普通の紳士だった。

    酒を飲んだ後にカラオケへ行くと、低く響く声で演歌を歌った。

    後に聞いたところでは、学生時代は大学の応援団に所属していたという。

    海千山千の不動産屋。

    そんな言葉がよく似合う人物だった。

    その後、私の仕事が変わり、しばらく疎遠になった。

    再び会うようになったのは、私が定年退職した後である。

    仕事に関係する資格登録を変更する必要があり、K社長の会社に協力してもらった。

    2019年に再会したとき、彼はもうパンチパーマではなかった。

    以前より小さくなったようにも見えた。

    杖を使っていたが、まだ自分で歩くことはできた。

    彼の会社が入っている建物の一階には、小さな飲食店があり、そこで一緒にビールを飲むこともあった。

    ところが、その後、足は急速に悪くなった。

    やがて一階の店へ下りることも難しくなり、私たちは彼の部屋でビールを飲みながら話すようになった。

    銀行の話を本格的に聞いたのは、2021年の暮れ頃だったと思う。

    「銀行に二千万円取られたんだ」

    K社長は、最初そう言った。

    しかし、資料を確認すると、実際の預金額はもう少し少なかった。

    普通預金が1,354万6,120円。

    定期預金が100万円。

    合計1,454万6,120円。

    「二千万円じゃなかったんですね」

    私が言うと、K社長は、それだけでも少しがっかりした様子だった。

    だが、問題は金額の違いではない。

    その約1,455万円が、口座からすべて消えていたのである。

    この金には、少し事情があった。

    K社長が管理に関わっていたマンションの住人の一人に、身寄りのない男性がいた。

    その男性はK社長と親しくなり、生前、

    「自分が死んだら、財産はあなたに残す」

    という趣旨の遺言を残していたという。

    男性が亡くなった後、K社長は、その遺言に基づいて預金を受け取るための手続きを進めることになった。

    それが、普通預金と定期預金を合わせた約1,455万円だった。

    K社長は、その金にすぐ手を付ける必要がなかった。

    「銀行に置いておけば、なくなることはない」

    彼は、そう信じていた。

    だから長い間、通帳を確認しなかった。

    やがて、自分の会社で長く働いた社員たちに、退職金代わりとして分けてやろうと考えた。

    そこで、久しぶりに預金を引き出そうとした。

    残高はなかった。

    「いつから、なかったんですか」

    私が尋ねると、K社長は古い日付を口にした。

    2006年6月8日。

    十五年以上も前だった。

    「十五年も確認しなかったんですか」

    私は思わず聞き返した。

    「銀行にあると思ってたんだよ」

    K社長は、当然のことを説明するように答えた。

    私は、ますます疑わしく思った。

    十五年以上も口座を確認せず、今になって銀行員に取られたと言われても、簡単には信じられない。

    本人が受け取ったことを忘れている可能性もある。

    別の口座へ移していた可能性もある。

    弁護士や税理士が何らかの手続に関わっていた可能性もある。

    だが、K社長の話には、妙に具体的な部分があった。

    2006年6月8日。

    銀行の支店で、ある書類に実印を押したというのである。

    K社長は、それを、

    「白紙の領収証」

    と呼んでいた。

    「白紙の領収証に?」

    私は聞き返した。

    「銀行の人が必要だって言ったから」

    私は頭を抱えたくなった。

    そして、この「白紙の領収証」が、話の最初の大きな疑問になった。


    → 第2話「白紙の領収証」へ

  • 4-8 67歳、Duolingo全コース修了。でも『Friends』は聞き取れない


    先日、Duolingoの英語コースをすべて修了した。

    画面には、

    「英語コースの修了おめでとう!」

    という文字が表示された。

    Duolingoを始めてから1,067日。
    有料会員になってからは、一日も欠かさず続けてきた。

    だから、修了画面が出たときは、純粋にうれしかった。

    ただし、英語が自由に聞き取れるようになったかといえば、残念ながら、まだそこまではいっていない。

    Netflixでアメリカのドラマ『Friends』を見ても、聞き取れるのは感覚的には半分くらいだ。

    全コースを修了したのに、まだ『Friends』は十分に聞き取れない。

    今回は、そんな現在の英語力と、これからの学習について書いてみたい。


    なぜDuolingoを始めたのか

    正直に言うと、Duolingoを始めた明確な理由は、あまり覚えていない。

    おそらく、定年退職後に次の仕事を探していたとき、英語力を求められる求人を見たことがきっかけだったのだと思う。

    その中には、外資系企業の監査役の仕事もあった。

    私のTOEICの最高点は745点である。

    数字だけを見れば、それなりに英語ができるようにも見える。

    しかし、私が勉強してきた英語は、基本的には受験英語である。

    文法や単語はある程度分かっても、実際の会話、特にヒアリングには自信がなかった。

    長く英語から離れていたため、かなりさび付いてもいた。

    定年後で多少時間もできたことから、

    「もう一度、英語を勉強してみようか」

    と思ったのだろう。

    特に伸ばしたかったのは、英語を聞き取る力だった。

    最初はDuolingoの無料版を試してみた。

    すると、これが予想以上によくできていた。

    妻と、

    「このアプリ、すごくいいね」

    と話し、やがて二人で家族会員になった。

    有料会員になってからは、毎日続けている。


    1,067日続けられた理由

    毎日続けられた一番の理由は、通勤時間に学習するリズムができたことだと思う。

    電車に乗ったらDuolingoを開く。

    それを毎日の習慣にした。

    そして、もう一つ大きかったのが、連続学習記録である。

    連続記録が長くなると、途中で切らすのが惜しくなる。

    そのうち、通勤する日もしない日も関係なく、毎日やるようになった。

    ここまで記録が続くと、もう簡単にはやめられない。

    ただ、単に記録を切らしたくなかっただけでは、1,000日以上は続かなかったと思う。

    やはり、英語が少しずつ上達している実感があったことが大きい。

    私は受験英語で、文法や単語の基礎はある程度身につけていた。

    Duolingoの学習は、その基礎の上に新しい英語が少しずつ積み重なっていく感じだった。

    たとえるなら、乾いた土に水が染み込んでいくような感覚である。

    すでに持っていた知識が、少しずつ実際に使える英語に変わっていった。


    全コースを修了して伸びたこと

    Duolingoを続けて、一番伸びたと感じるのはヒアリング力である。

    以前よりも、英語の会話を聞いたときに、単語や文章のまとまりが耳に入ってくるようになった。

    また、受験英語ではあまり出てこなかった、日常会話で使われる語彙や表現もかなり増えた。

    もちろん、まだ十分ではない。

    それでも、以前ならまったく聞き取れなかった会話が、少しずつ分かるようになってきた。

    全コース修了は、その積み重ねの結果だったと思う。


    それでも『Friends』は難しい

    一方で、『Friends』の会話は今でも難しい。

    聞き取れるのは、感覚的には半分程度だと思う。

    以前は、単に自分の耳が英語の速さについていけないのだと思っていた。

    しかし、英語字幕を見ながら確認してみると、問題はヒアリングだけではなかった。

    会話で使われている文法や語彙そのものを、まだ知らない場合も多い。

    聞こえないのではなく、聞こえても意味が分からない表現もある。

    Duolingoを全コース修了しても、ネイティブ同士の自然な会話を理解するには、まだ大きな距離がある。

    そのことも、改めて分かった。

    ただし、まったく進歩していないわけではない。

    以前より少しずつ聞き取れるようになっている実感はある。

    だから、全コース修了はゴールではなく、一つの通過点なのだと思っている。


    修了後に現れた「デイリーリフレッシュ」

    修了画面が出たとき、私は一つ気になっていた。

    「この後、Duolingoはどうなるのだろう」

    全コースが終わったのだから、もう学習画面がなくなってしまうのだろうか。

    ところが、修了後に画面を開くと、新しく「デイリーリフレッシュ」というコースが表示された。

    なるほど、うまく作ってあるなと感心した。

    コースを修了して終わりではなく、その後も毎日復習できる仕組みになっている。

    実際にやってみると、このデイリーリフレッシュもよくできている。

    過去に学んだ単語や文法、会話表現を繰り返し確認できる。

    英語は、一度覚えても使わなければ忘れてしまう。

    そう考えると、修了後に毎日復習を続けるこの仕組みは、理にかなっている。

    私は今も、毎日デイリーリフレッシュを続けている。


    思ったことを英語で表現する練習

    今後、特に伸ばしたいのは、自分が思ったことを英語で表現する力である。

    英語を読んだり、問題に答えたりするだけでなく、自分の考えを英語で文章にする力を身につけたい。

    そのため、最近はChatGPTとの会話でも、日本語で書いた後に、同じ内容を英語でも書くようにしている。

    たとえば、何かを相談するときに、まず日本語で質問し、その下に自分なりの英語を書く。

    そして、ChatGPTに質問への回答と一緒に、英語も直してもらう。

    これは、自分の言いたいことを英語にする練習として、かなり役に立っている。

    教科書に載っている文章ではなく、自分が実際に言いたいことを英語にするからである。

    英語日記も続けている。


    これからも続けること

    今後も、次の学習は続けていくつもりである。

    Duolingoのデイリーリフレッシュ。

    YouTubeの『Friends』を使った英会話学習。

    Netflixで見る本物の『Friends』。

    ChatGPTとの英語でのやり取り。

    そして英語日記。

    いろいろな方法を組み合わせながら、少しずつ英語に触れる時間を増やしていきたい。

    最近は、ブログを書くことよりも英語学習を優先したいと思うこともある。

    英語の映画を字幕なしで直接理解できたら、きっと楽しい。

    海外で自然に英語を話せたら、単純に格好いい。

    それに、現在の監査役を退任した後、もう一度仕事を探すことになれば、英語力が役立つ可能性もある。

    実用性もあるが、最後はやはり、

    「英語が分かったら楽しい」

    という気持ちが一番大きいのかもしれない。


    いつかChatGPTと英語だけで話したい

    Duolingoの全コースを修了したからといって、英語学習を卒業したわけではない。

    むしろ、自分に足りないものが、以前よりはっきり見えるようになった。

    『Friends』は、まだ半分くらいしか聞き取れない。

    自分の考えを英語ですぐに表現することも難しい。

    それでも、1,067日前よりは、確実に前に進んでいる。

    67歳だから、もう英語は伸びないとは思わない。

    毎日少しずつでも続ければ、まだ伸ばすことはできる。

    いつかChatGPTと、日本語を使わず、英語だけで自然に会話できるようになったら面白い。

    全コース修了はゴールではない。

    英語学習の、次の段階の始まりである。


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  • 6-1 毎年、同じ北海道旅行を続ける理由

    6-1 毎年、同じ北海道旅行を続ける理由


    ――新しい場所より、また帰りたい場所が増えてきた

    今年も、妻と北海道へ行ってきました。

    私たちが北海道旅行を始めたのは2019年。今回で8回目になります。

    毎年まったく同じ日程というわけではありません。富良野と札幌を中心に、途中で帯広、阿寒湖、定山渓などに立ち寄ってきました。

    しかし、旅の基本的な形はだんだん決まってきました。

    富良野へ行き、最後は札幌で3泊する。

    札幌で泊まるのは、JRタワーホテル日航札幌です。

    せっかく旅行へ行くのに、毎年ほぼ同じ場所を訪れて飽きないのか。そう思う人もいるかもしれません。

    ところが私たちにとっては、同じ場所へ行き、気に入っている過ごし方を繰り返すことが、北海道旅行の楽しみになっています。


    ファーム富田のラベンダーは、何度見ても感動する

    富良野で欠かせないのが、ファーム富田です。

    ラベンダー畑が一面に広がる景色は、本当に感動的です。これまでに何度も見ていますが、不思議なことにまったく飽きません。

    広い空、遠くの山、鮮やかな紫色のラベンダー。

    その年の天候や花の咲き具合によって、同じ場所でも少しずつ表情が違います。

    今年はファーム富田を2日続けて訪れました。

    同じ観光地に2日続けて行くのは、一般的な旅行の組み立て方ではないかもしれません。それでも、せっかく富良野まで来たのだから、感動した景色をもう一度見たいと思いました。

    そして、ファーム富田には景色とは別に、もう一つやめられない楽しみがあります。

    2階席に座り、ラベンダー畑を眺めながら、コロッケカレーを食べることです。飲み物はノンアルコールビール。

    目の前にはラベンダーが広がり、北海道の空気の中で、熱いカレーとコロッケを味わう。

    特別に豪華な料理というわけではありません。しかし、私にとってはこれが富良野旅行の大切な一場面です。

    ラベンダーを見ることと、ラベンダーを眺めながらコロッケカレーを食べること。この二つがそろわないと、富良野へ来た気がしません。


    富良野の夜は、ホテルのコース料理を楽しむ

    富良野では、ホテル一花に泊まるのも楽しみの一つです。

    旅行というと、つい観光地をいくつも回りたくなります。しかし最近は、早めにホテルへ入り、落ち着いた雰囲気の中で料理を楽しむ時間も、旅の大切な目的になりました。

    昼間はファーム富田などを歩き、ホテルへ戻ったら、夜はゆっくりコース料理を味わいます。

    美しい景色を見る。

    気に入ったものを食べる。

    そして、慌てずにホテルで過ごす。

    若い頃よりも、こうした余裕のある旅のほうが心地よく感じられるようになりました。


    札幌の最後の3泊には、決まった過ごし方がある

    北海道旅行の最後は、札幌で3泊します。

    宿泊するのは、JRタワーホテル日航札幌です。

    高層階のツインルームには、窓に面した広いカウンターがあります。

    このカウンターが、私たちにとっては最高の食卓になります。

    デパ地下で料理を買い、ホテルの部屋へ持ち帰る。ビール、ワイン、日本酒も用意する。

    そして札幌の夜景を眺めながら、二人でゆっくり食事と酒を楽しみます。

    今回泊まったのは31階の部屋でした。

    夕方、まだ明るさの残っている街に、少しずつ明かりがともっていく。やがて窓の外一面に札幌の夜景が広がります。

    その景色を前に、カウンターに料理と酒を並べる。

    レストランで食べる豪華な食事とは、また違った贅沢です。

    札幌にはおいしい店がたくさんあります。それでも、せっかく高層階の部屋に泊まっているのだから、この夜景を見ずに外食だけで終えるのはもったいない。

    札幌3泊のうち、1日目と3日目は部屋で夜景を眺めながら食事をし、2日目は外へ出てチーズフォンデュを食べる。

    これが、私たちの札幌でのルーティーンになっています。


    2日目は、いつものチーズフォンデュ

    札幌滞在の2日目は、チーズフォンデュを食べに行きます。

    今回も、昨年訪れた店へ行きました。

    旅先では、毎回違う店を探す楽しみもあります。しかし、一度気に入った店にもう一度行き、「今年もここへ来た」と感じるのもいいものです。

    1日目はホテルの部屋で夜景と酒を楽しみ、2日目は街へ出てチーズフォンデュ。そして3日目は、もう一度ホテルの部屋で旅の最後の夜を過ごす。

    この順番まで含めて、札幌での時間になっています。

    「また同じ場所」ではなく、「今年もまた来られた」

    若い頃の旅行では、できるだけ多くの場所を回り、見たことのない景色を見ることを重視していました。

    今でも新しい場所を訪れるのは楽しいものです。

    ただ、年齢を重ねるにつれて、好きな場所へもう一度戻ることの価値も感じるようになりました。

    「また同じ場所へ来た」のではありません。

    「今年も、またここへ来ることができた」のです。

    ファーム富田のラベンダーを見て、コロッケカレーを食べる。

    ホテルでコース料理を楽しむ。

    札幌では、JRタワーホテル日航札幌の高層階から夜景を眺め、ビール、ワイン、日本酒を味わう。

    どれも毎年ほぼ同じです。

    しかし私たち自身は、毎年少しずつ年齢を重ねています。だからこそ、変わらず同じ旅ができることが、以前よりもありがたく感じられるのかもしれません。


    来年も、同じ旅をしたい

    今回の旅行を終えたとき、妻と「来年も同じ旅をしよう」と話しました。

    まだ行ったことのない観光地や、泊まったことのないホテルもたくさんあります。

    それでも来年になれば、またファーム富田のラベンダーを見たくなるでしょう。

    ラベンダーを眺めながら、コロッケカレーとノンアルコールビールを味わいたくなるでしょう。

    そして旅行の最後には、JRタワーホテル日航札幌の高層階で、札幌の夜景を眺めながら酒を飲みたくなると思います。

    新しい場所へ行くことだけが、旅ではありません。

    好きな場所へ、また帰る。

    私たちにとって北海道は、毎年訪れる観光地というより、年に一度戻ってくる大切な場所になっています。


    6-2 外食より楽しみな夜――JRタワー高層階の部屋時間


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  • 5-8 ドイツ旅行で英語はどのくらい必要だったか 翻訳アプリとChatGPTで個人旅行はできるのか


    今回のドイツ旅行は、フランクフルトから入り、ヴュルツブルク、ローテンブルク、フュッセン、ミュンヘンと移動する11日間の個人旅行でした。

    海外の個人旅行となると、やはり気になるのが言葉の問題です。

    ドイツ語はもちろんできません。
    英語も、私の場合、長年勉強しているとはいえ、決してペラペラではありません。

    では、実際にドイツを個人旅行してみて、英語はどのくらい必要だったのか。

    結論から言うと、英語がペラペラでなくても、今回のドイツ旅行では大きく困ることはほとんどありませんでした。

    ただし、
    「翻訳アプリがあるから語学はいらない」
    とまでは思いませんでした。

    むしろ、旅の後半では、
    AIや翻訳アプリがあっても、やはり語学は必要だな
    と感じる場面もありました。

    今回はそのあたりを、実際の体験ベースで書いてみたいと思います。


    ホテルやレストランでは、英語でほとんど問題なかった

    今回の旅行で、英語を使う場面はいくつかありました。

    ホテルでのチェックイン。
    レストランでの注文。
    会計。
    予約の確認。
    タクシーの手配。

    こうした場面では、思ったほど困ることはありませんでした。

    たとえば、ローテンブルクのホテルでは、明後日の朝に駅まで行くタクシーを予約する必要がありました。

    ホテルの受付で、
    「明後日の朝、駅まで行くタクシーを予約したい」
    という内容を英語で伝えましたが、まったく問題なく会話できました。

    レストランでも同じです。

    予約していることを伝える。
    料理を注文する。
    飲み物を頼む。
    会計をお願いする。
    カードで支払う。

    このあたりは、旅行で使う表現がかなり限られています。

    もちろん、完璧な英語で話していたわけではありません。
    ただ、こちらの言いたいことは十分伝わりました。

    実際のところ、旅行で必要な英語は、それほど難しいものではありません。

    「予約しています」
    「2人です」
    「これをください」
    「カードで払います」
    「タクシーをお願いします」

    こういうレベルの英語が使えれば、かなり何とかなります。

    今回の旅行で感じたのは、海外個人旅行に必要なのは、流暢な英語というより、場面ごとの最低限の英語をためらわずに使うことだということでした。


    一番難しかったのは、会話よりメニューだった

    一方で、意外に難しかったのがレストランのメニューです。

    ドイツ語のメニューは当然分かりません。
    ただ、英語のメニューがあれば大丈夫かというと、実はそうでもありませんでした。

    英語で書いてあっても、そもそも料理名を知らないのです。

    肉の種類。
    調理法。
    ソース。
    付け合わせ。
    その土地の料理名。

    これらが並んでいると、英語で書かれていても、結局よく分かりません。

    たとえば、日本のメニューを考えても、外国人が英語に翻訳された文字だけを見て、「これはどういう料理か」を完全に理解するのは難しいはずです。

    ドイツでも同じでした。

    英語メニューがあっても、
    「これは結局、何の料理なのか」
    が分からない。

    そこで活躍したのがGoogle翻訳です。

    メニューをスマホで読み取り、日本語に訳して、ようやく何となく分かる。
    それでも、料理そのものを知らないと、完全には分かりません。

    むしろ、メニューに関しては、女房殿の方が分かっていたように思います。

    料理や食材の勘がある人の方が、英語力とは別のところで強いのかもしれません。

    今回、ホワイトアスパラガス、シュニッツェル、フランケンワイン、ビール、ソーセージなど、ドイツらしいものをいろいろ食べました。
    ただ、その裏側では、メニューを見て毎回それなりに悩んでいました。

    英会話よりも、料理名を理解する方が難しい。
    これは、実際に行ってみて初めて分かったことでした。


    一番のトラブルは、英語ではなくフランクフルト空港だった

    今回の旅行で一番大きく迷ったのは、実は英語の会話ではありません。

    フランクフルト空港から市内へ移動する場面でした。

    フランクフルト空港では、JAL便が到着するのは第2ターミナルです。
    一方、市内へ向かう鉄道は第1ターミナル側から乗ります。

    つまり、まず第2ターミナルから第1ターミナルへ、空港内の電車で移動する必要がありました。

    これは、出発前に「地球の歩き方」で一応調べていました。

    ところが、現地に着いた瞬間、その手順をすっかり忘れてしまいました。

    第2ターミナルで、市内へ行く鉄道の乗り場を探して、しばらくうろうろしてしまったのです。

    ようやく第1ターミナルに移動する必要があると気づき、空港内の電車で移動しました。

    ところが、そこでもう一つ失敗がありました。

    市内行きの切符を買うには、緑色の券売機を使えばよかったのですが、私はなぜか赤色の券売機の前で、目的地の駅名を必死に探していました。

    当然、見つかりません。

    この赤い券売機が何の路線用だったのか、今でもよく分かりません。
    ただ、私が買いたかった切符を買う機械ではありませんでした。

    結局、ここで約30分ほどロスしました。

    この場面で必要だったのは、英語力というより、
    空港の導線を理解する力
    券売機の種類を見分ける力
    事前に調べたことを現地で思い出す力
    だったと思います。

    海外旅行では、語学だけでなく、こういう現場対応力もかなり重要です。


    ドイツ鉄道はDB Navigatorがあればかなり何とかなる

    一方で、ドイツ国内の鉄道移動は、思ったより何とかなりました。

    理由は、DB Navigatorアプリです。

    今回の旅行では、ドイツ鉄道で何度も移動しました。
    フランクフルトからヴュルツブルク。
    ヴュルツブルクからローテンブルク。
    ローテンブルクからフュッセン。
    フュッセンからミュンヘン。
    そして、ミュンヘン市内から空港へ。

    最初はかなり不安でした。

    ドイツの駅には日本のような改札がありません。
    ホームも出発直前まで変わることがあります。
    列車の遅れもあります。
    車内で抜き打ちの検札もあります。

    しかし、DB Navigatorを使っていると、かなり安心できます。

    乗る列車。
    発車時刻。
    到着時刻。
    ホーム。
    乗り換え。
    遅延情報。
    現在地。

    これらがアプリで確認できます。

    途中からは、DB Navigatorを見ながら動けば、かなり落ち着いて移動できるようになりました。

    今回のドイツ旅行で、鉄道に関しては、英語力よりもアプリ力の方が重要だったかもしれません。

    もちろん、何かあったときに駅員さんに聞ける英語力はあった方がいいです。
    ただ、通常の移動であれば、DB Navigatorがかなり助けてくれます。

    ただし、これはドイツ国内の話です。

    去年のプラハ、ウィーン、ブダペストの移動を思い出すと、国をまたぐ鉄道移動では、今回ほどスムーズにはいかなかったようにも思います。

    ドイツ国内ではDB Navigatorという強力な味方があります。
    しかし、国境を越える鉄道旅行では、アプリだけですべて同じようにいくとは限りません。

    その意味では、今回のドイツ旅行は、個人旅行としてはかなり恵まれた環境だったのかもしれません。


    翻訳アプリとChatGPTがあれば、個人旅行のハードルはかなり下がる

    今回の旅行で強く感じたのは、翻訳アプリとChatGPTがあれば、海外個人旅行のハードルはかなり下がるということです。

    メニューの翻訳。
    レストランでの注文の相談。
    ホテルへのメール文面。
    列車のチケットの確認。
    現地で迷ったときの判断。
    ちょっとした英語表現の確認。

    こうした場面で、スマホがあると本当に心強いです。

    特に、ChatGPTは単なる翻訳だけではなく、状況を説明すると「この場合はこうすればよい」という形で相談できるところが便利でした。

    たとえば、レストランで何を頼むか。
    チップはどうするか。
    このチケットで合っているか。
    この駅で乗り換えればよいのか。

    こうした判断は、単なる翻訳アプリだけでは少し難しいところです。

    その点、ChatGPTは旅行中の相談相手としてかなり役に立ちました。

    正直なところ、今回の旅行を終えて、
    翻訳アプリとChatGPTがあれば、海外個人旅行はかなり何とかなる
    という自信がつきました。

    ツアーではなく、自分たちでホテルを取り、鉄道に乗り、レストランを探し、街を歩く。
    それが思っていたよりも現実的だと分かったのは、大きな収穫でした。


    でも、翻訳アプリは万能ではなかった

    ただし、翻訳アプリがあれば語学はいらない、というわけではありません。

    そのことを強く感じた出来事が、ローテンブルクでありました。

    ローテンブルクの駅で、何か客の荷物がなくなったようなアナウンスがありました。

    その後、駅のホームで、ドイツ人のおばさんが女房殿の赤いポシェットを見て、何かしきりに話しかけてきました。

    当然、ドイツ語なので分かりません。

    その時点では、何を言っているのかまったく理解できませんでした。

    さらにその後、ローテンブルクの雑貨屋でも、店の人が女房殿の赤いポシェットを見て、また何かドイツ語でしきりに話しかけてきました。

    もしかすると、駅でのアナウンスと何か関係があったのかもしれません。
    あるいは、単にポシェットについて何か言っていただけなのかもしれません。

    いずれにせよ、こちらには分かりません。

    そこでスマホを出して、Google翻訳で通訳しようとしました。

    ところが、こういう時に限ってうまく機能しません。

    電波の関係なのか。
    こちらが慌てていたからなのか。
    相手の話すスピードが速かったからなのか。

    テレビなどでは、スマホをかざせば外国人とスムーズに会話できるように見えます。
    しかし、実際の旅行中に、急に話しかけられ、こちらが少し焦っている状態では、そんなにうまくはいきませんでした。

    この時は、かなりはっきりと感じました。

    翻訳アプリは便利だけれど、万能ではない。

    そして、もう一つ感じたのは、
    AIが普及しても、やはり語学は必要だ
    ということでした。

    今回は相手がドイツ語だったので、英語の問題ではありません。
    ただ、これは英語でも同じだと思います。

    突然話しかけられたとき。
    相手が少し早口だったとき。
    こちらが慌てているとき。
    スマホがうまく動かないとき。

    そういう場面では、やはり自分の耳と口で、最低限でもやり取りできる力があるかどうかが大きいのだと思います。


    英語ができると、旅の不安はかなり減る

    今回のドイツ旅行では、英語ができなくて大きく困った場面はほとんどありませんでした。

    往復のフライトはJALでした。
    鉄道はDB Navigatorがありました。
    レストランのメニューはGoogle翻訳がありました。
    困ったときにはChatGPTに相談できました。

    そう考えると、昔に比べて海外個人旅行のハードルは、かなり下がっていると思います。

    ただ、それでも英語を勉強していてよかったとは思いました。

    ホテルでタクシーを頼む。
    レストランで注文する。
    会計する。
    予約を確認する。
    何かを聞き返す。

    こうした小さな場面で、英語を少しでも使えると、旅の不安はかなり減ります。

    ペラペラである必要はありません。
    難しい文法を使う必要もありません。

    ただ、必要な場面で、必要なことを、短く伝えられる。

    それだけでも、海外旅行では大きな力になります。

    今回の旅行で感じたのは、英語は「試験のためのもの」ではなく、やはり「実際に使うためのもの」だということでした。


    AI時代でも、語学はやっぱり必要だと思った

    今回の旅行を終えて、私は少し自信がつきました。

    翻訳アプリとChatGPTがあれば、ドイツ個人旅行は十分に可能です。
    少なくとも、ホテル、鉄道、レストラン、観光地を回るくらいであれば、何とかなる場面が多いです。

    一方で、スマホやAIに頼りきりでよいかというと、そうでもありません。

    メニューの内容を理解するには、言葉だけでなく料理の知識も必要です。
    駅や街中で突然話しかけられたときには、翻訳アプリがすぐに使えないこともあります。
    相手の言っていることを少しでも聞き取れるかどうかで、安心感は大きく変わります。

    AIは、海外旅行の強力な味方です。
    これは間違いありません。

    しかし、AIがあるから語学はいらない、というより、
    AIがあるからこそ、少しの語学力でも海外旅行に挑戦しやすくなった
    という方が、今回の実感に近いです。

    完璧な英語は必要ありません。

    でも、最低限の英語を少しずつ身につけておくと、旅は確実に楽になります。
    不安も減ります。
    そして、現地で何かあったときの対応力も上がります。

    今回のドイツ旅行は、英語学習を続けてきた意味を、少しだけ実感できる旅でもありました。

    英語ができるようになってから海外旅行に行くのではなく、
    海外旅行に行くからこそ、英語を使う場面が生まれる。

    そして、その経験がまた、英語を勉強する理由になる。

    ドイツ旅行を終えて、そんなことを感じました。


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  • 5-7 JAL SKY WIDERでドイツへ 夫婦二人掛け席にこだわった話


    今回のドイツ旅行では、航空会社はJALにしました。

    我が家はもともとJAL派です。せっかくヨーロッパまで行くなら、できればJALで行きたいという気持ちがありました。

    もう一つ大きかったのが、長距離フライトで少しでも楽に移動したかったことです。

    ドイツ旅行というと、現地での鉄道移動やホテル選びに目が行きがちです。実際、今回の旅行でも、フランクフルトからヴュルツブルク、ローテンブルク、フュッセン、ミュンヘンへと鉄道で移動したので、DB Navigatorやバイエルンチケットにはずいぶんお世話になりました。

    ただ、よく考えると、日本からドイツまでのフライトも、旅のかなり大きな部分を占めています。

    特にエコノミークラスでヨーロッパまで行く場合、座席の快適さは旅の疲れ方にかなり影響します。

    そこで今回、かなりこだわったのが、JALの「SKY WIDER」と、夫婦二人で並んで座れる二人掛け席でした。

    SKY WIDERに期待したこと

    JALのSKY WIDERは、通常のエコノミークラスよりも座席まわりにゆとりがあるタイプのシートです。

    もちろん、ビジネスクラスのように横になれるわけではありません。

    しかし、長時間のフライトでは、少しの差がかなり大きいです。

    ヨーロッパ便は飛行時間が長いので、足元の余裕や座席の幅、隣との距離感はどうしても気になります。

    若い頃なら、「まあ、エコノミーでも何とかなるだろう」で済んだかもしれません。

    でも、今はそう簡単にはいきません。

    現地に着いてから元気に動き回るためには、出発前から、いかに疲れを残さず到着するかも大事です。フライトの座席選びも、立派な旅行準備の一部だと思います。

    SKY WIDERにも2種類あった

    ここで一つ、今回あらためて大事だと思ったことがあります。

    一口にSKY WIDERといっても、座席配列には種類があるということです。

    一つは、横並びが2-4-2の機材です。
    もう一つは、3-3-3の機材です。

    夫婦二人旅の場合、狙いたいのはもちろん2-4-2の機材です。

    2-4-2であれば、窓側の2席を取ることで、夫婦二人だけで並んで座ることができます。

    エコノミークラスでは、3席並びの座席になることも多く、夫婦二人で座ると、どうしても隣に知らない人が来ることになります。

    もちろん、それが悪いわけではありません。

    ただ、長距離便でトイレに立つとき、荷物を出すとき、ちょっと体勢を変えるときなど、やはり気を遣います。

    夫婦二人だけの並びなら、その気遣いがかなり減ります。

    たかが座席、されど座席です。

    長距離フライトでは、この「気を遣わなくていい」というのが、想像以上に大きいのです。

    そこで今回、往復とも2-4-2の機材を選び、二人掛けの席を予約しました。

    予約したのは、出発の約1年前です。

    かなり早い段階から、「ここは二人掛け席を押さえておこう」と考えていたわけです。

    ところが帰りの便が機材変更に

    ところが、予約から半年ほど経った頃、JALから帰りの便について連絡がありました。

    内容は、機材変更です。

    帰りの便が、当初予定していた2-4-2の機材から、3-3-3の機材に変更になっていました。

    そして、座席も自動的に割り当て直されていました。

    確認してみると、当然ながら3人掛けの席です。

    これには少し慌てました。

    せっかく1年前から二人掛け席にこだわって予約していたのに、機材変更で普通の3人掛けになってしまったわけです。

    長距離フライトで、夫婦二人の横に知らない人が一人入るのは、やはり気を遣います。

    そこで、すぐに座席表をチェックしました。

    すると、面白いことに気づきました。

    3-3-3の機材なのですが、一番後ろの列だけは、機体が少し狭くなるため、座席配列が2-3-2になっていたのです。

    「これは取るしかない」と思い、すぐに最後方の二人掛け席を押さえました。

    結果的に、帰りの便でも夫婦二人掛けを確保することができました。

    これは、今回の旅の中でも地味に大事なファインプレーだったと思います。

    早く予約しても油断はできない

    今回の件で感じたのは、早く予約すればそれで終わり、ではないということです。

    もちろん、早めに予約したからこそ、当初は希望通りの二人掛け席を押さえることができました。

    ただ、国際線では途中で機材変更が起こることがあります。

    機材が変わると、座席配列も変わります。
    座席配列が変わると、せっかく選んだ席も崩れます。
    そして、場合によっては自動的に別の席に割り当て直されます。

    今回もまさにそれでした。

    だから、航空会社から機材変更の連絡が来たときは、すぐに座席表を確認した方がいいと思います。

    特に夫婦二人で二人掛け席にこだわる場合は、ここが大事です。

    最後方だけ2-3-2になっているような席が残っている可能性もあります。

    逆に、確認が遅れると、そういう席も埋まってしまうかもしれません。

    「JALのSKY WIDERを選んだから安心」ではなく、「SKY WIDERの座席配列まで見ておくこと」と、「機材変更後も座席表をすぐに確認すること」が大事だと感じました。

    最後方二人掛け席のメリットと注意点

    最後方の二人掛け席には、かなり大きなメリットがあります。

    まず、二人だけで完結するので気が楽です。

    隣に知らない人がいないため、トイレに行くときも、荷物を取るときも、遠慮が少なくて済みます。

    長距離便では、機内で過ごす時間がとても長いです。

    映画を観たり、食事をしたり、少し寝ようとしたり、足元の荷物を出し入れしたりする中で、隣が家族というだけでだいぶ楽です。

    ただし、最後方席にも注意点はあります。

    トイレに近い場合は人の出入りが気になることがあります。機内食が配られる順番が遅くなることもあります。

    また、最後方に近い席だと、リクライニングが少し弱いのではないかと気になる場面もありました。

    それでも、我が家としては、二人掛け席のメリットの方が大きかったです。

    長距離便で夫婦二人だけの空間を確保できるというのは、思った以上に安心感がありました。

    足元対策も意外と大事だった

    長距離フライトでは、座席そのものだけでなく、足元の工夫も大事でした。

    今回、座席下に置いたバッグを足置き代わりにして、そこに追加のクッションを組み合わせることで、足の置き場を少し楽にしました。

    エコノミークラスでは、どうしても足の置き場に困ります。

    ずっと同じ姿勢でいると、足がだるくなりますし、寝ようとしてもなかなか落ち着きません。

    少しでも足の高さを変えられるようにしておくと、かなり違います。

    ネックピローなども用意していましたが、実際にはそこまで活躍しなかった印象です。

    むしろ、我が家の場合は、足元をどうするかの方が重要でした。

    エコノミークラスで完全に快適に寝ることは難しいですが、少しでも体勢を変えられるようにしておくと、疲れ方が変わります。

    Netflixで失敗した話

    今回の機内対策として、iPadにNetflixの映画をたくさんダウンロードしていきました。

    ところが、行きのフライトでいざ見ようとしたら、Netflixが起動しませんでした。

    ダウンロードしてあればオフラインで見られると思っていたのですが、出発前にWi-Fi環境で一度きちんとログインしておく必要があったようです。

    これは完全に盲点でした。

    JALの機内Wi-Fiもありますが、動画サービスを快適に使えるようなものではありません。

    結局、行きの便ではNetflixを活用できませんでした。

    この失敗を踏まえて、帰りの便では搭乗日の朝、ホテルのWi-FiでNetflixにログインしておきました。

    そのおかげで、帰りの機内では無事にNetflixの映画を楽しむことができました。

    こういう細かい準備も、長距離フライトでは地味に効いてきます。

    「動画をダウンロードしたから大丈夫」と思わずに、出発前に一度アプリを開いて、ちゃんと再生できるか確認しておく。

    これも、今回学んだ教訓の一つです。

    長距離エコノミーは「座席選び」も旅の一部

    今回あらためて感じたのは、長距離エコノミーでは、座席選びも旅の一部だということです。

    ビジネスクラスならもちろん快適でしょう。

    しかし、夫婦二人でヨーロッパ旅行に行く場合、航空券代だけでもかなりの金額になります。毎回ビジネスクラスというわけには、なかなかいきません。

    そうなると、エコノミークラスの中で、どれだけ快適な条件を探すかが大事になります。

    SKY WIDERを選ぶ。
    2-4-2の機材を狙う。
    夫婦二人掛け席を押さえる。
    機材変更の連絡が来たら、すぐに座席表を確認する。
    最後方席も含めて、二人掛けが残っていないか探す。
    足元対策を考える。
    機内で見る映画は事前にログイン確認しておく。

    一つひとつは小さなことですが、全部合わせると、旅の疲れ方が変わってきます。

    特に今回のようなドイツ個人旅行では、到着後もすぐに街歩きや鉄道移動が始まります。

    フライトで疲れ切ってしまうと、せっかくの旅行のスタートが重くなってしまいます。

    だからこそ、航空券を取る段階から座席には少しこだわっておいてよかったと思います。

    まとめ

    今回のドイツ旅行では、フランクフルト、ヴュルツブルク、ローテンブルク、フュッセン、ミュンヘンと鉄道で移動しました。

    現地での移動やホテル、レストランももちろん大切でしたが、その前後にある長距離フライトも、やはり旅の重要な一部でした。

    JALのSKY WIDERと夫婦二人掛け席にこだわったのは、結果的にかなり良かったと思います。

    ただし、SKY WIDERなら何でも同じというわけではありません。

    2-4-2の機材なのか、3-3-3の機材なのか。
    途中で機材変更が起きていないか。
    自分たちの座席が勝手に変更されていないか。
    最後方などに二人掛け席が残っていないか。

    こうした点は、予約後もときどき確認しておいた方が安心です。

    エコノミークラスでも、座席の選び方や事前準備で快適さは変わります。

    ヨーロッパ旅行を夫婦二人で計画するなら、観光地やホテルだけでなく、飛行機の座席にも少しこだわってみる価値はあると思います。


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  • 5-6 ミュンヘン編|ビール、レストラン、最後の街歩き


    旅の最後の都市は、ミュンヘンでした。

    フュッセンからミュンヘンへは、またドイツ鉄道で移動しました。

    この車内で、今回の旅行では3回目となる検札が来ました。

    ドイツの鉄道には、日本のような駅の改札が基本的にありません。その代わり、車内で抜き打ちのように検札が来ます。最初は少し緊張しましたが、DB Navigatorのアプリで購入したチケットを見せれば問題ありません。

    今回の旅では、最終的に計3回、車内検札がありました。

    「改札がないのに大丈夫なのか」と最初は思いましたが、こういう仕組みで成り立っているわけです。

    今回の旅行では、結局、駅の券売機で切符を買ったのは、最初のフランクフルト空港から市内へ向かうときの1回だけでした。それ以外は、ほとんどDB Navigatorのアプリで対応できました。

    旅の前半ではあれほど不安だったドイツ鉄道も、最後のミュンヘンへ向かう頃には、かなり慣れてきた気がします。

    実は一番感動した都市、ミュンヘン

    今回のドイツ旅行で、私が一番感動した都市は、実はミュンヘンだったかもしれません。

    出発前、妻は「ミュンヘンに3泊は少し長すぎるのでは」と心配していました。

    たしかに、フュッセンのような小さな町で3泊となると、少し時間を持て余したかもしれません。

    しかし、ミュンヘンはまったく違いました。

    とにかく街が大きいのです。

    ガイドブックを見ると、シュヴァービング地区、中央駅周辺、王宮周辺など、見どころのエリアはいくつもあります。きちんと回ろうと思えば、3泊でも足りないくらいかもしれません。

    ただ、私たちは欲張らず、新市庁舎やマリエン広場の周辺を中心に、ゆっくり街歩きを楽しむことにしました。

    マリエン広場から新市庁舎を見上げる眺めは、圧巻でした。

    写真やガイドブックでは何度も見ていましたが、実際に広場に立って、あの大きな建物を下から見上げると、やはり迫力が違います。

    「ミュンヘンに来た」という実感が、一番強く湧いた場所だったと思います。

    旅の終盤でもあり、少し疲れもたまっていました。ここでスーツケースを広げ、同じホテルに3泊しながら、無理をせず過ごせたのは正解でした。

    プラッツルホテルに3泊

    ミュンヘンで泊まったのは、「プラッツルホテル」です。

    このホテルは、今回の旅で泊まったホテルの中でも、かなり立地が良かったと思います。

    マリエン広場にも近く、ホフブロイハウスにも歩いて行ける距離です。観光の拠点としては、とても便利でした。

    そして、今回のホテルの中で、ここだけは部屋に冷蔵庫がありました。

    フュッセンのリュイトポルトパーク・ホテルには冷蔵庫がなかったので、これは地味にありがたかったです。旅行中は、飲み物やスーパーで買ったものを少し冷やせるだけでも、かなり助かります。

    ただし、このホテルだけ朝食を付けていませんでした。

    予約したのがかなり前だったこともあり、正直、朝食を付けていなかったことをすっかり忘れていました。

    2日目の朝、普通にホテルのレストランへ行ったところ、「朝食は付いていません」と言われてしまいました。

    ここで引き返すのも少し格好悪いので、そのまま部屋付けで朝食をいただくことにしました。

    結果、二人で約70ユーロ。

    日本円にすると、ざっくり1万3,000円くらいです。

    なかなか立派な朝食代です。

    ただ、ホテルの朝食を一度は体験できたので、「まあ、これはこれで良かったね」と妻と話しました。

    そして、結果的には朝食なしにしておいて正解でした。

    翌朝は近くのスーパーで買っておいた食材を部屋で食べましたし、最終日は朝早く空港へ向かったため、ホテルで朝食を食べる時間はありませんでした。

    最初からそれを考えて朝食なしにしていたはずなのですが、予約から時間が経ちすぎて、本人がすっかり忘れていたわけです。

    ミュンヘンは、やはりビールの街だった

    ミュンヘンで楽しみにしていたものの一つが、やはりビールです。

    今回の旅では、ローテンブルクではフランケンワインを飲みました。普段は赤ワイン派なのですが、フランケン地方ではやはり白ワインです。

    一方、ミュンヘンに入ると、気分は完全にビールになりました。

    初日の夕食は、定番中の定番「ホフブロイハウス」に行きました。

    観光客向けと言えばその通りかもしれませんが、あの大きな空間で、ビールを飲みながらドイツ料理を食べる体験は、やはり一度はしておきたいものです。

    それまで連日のようにホワイトアスパラガスを食べていたので、この日はホワイトアスパラは少し休憩しました。

    2日目は「G. Schneider & Sohn」へ行きました。

    ここではソーセージ4本とホワイトアスパラガスを注文しました。ソーセージとビール、そして白アスパラ。いかにもミュンヘンらしい夕食です。

    3日目は「Zum Dürnbräu」です。

    ここでもホワイトアスパラガスと肉料理をいただきました。結局、ドイツ滞在中はかなりの頻度でホワイトアスパラガスを食べたことになります。

    日本ではなかなかこの季節感で白アスパラを食べる機会は少ないので、今回の旅の食の思い出として、かなり印象に残りました。

    ビールがすっかり好きになった

    今回のドイツ旅行を通じて、私はビールがすっかり好きになりました。

    もちろん日本でもビールは飲みますが、ドイツで飲むビールは、やはり雰囲気込みでおいしいのです。

    特にミュンヘンでは、レストランに入って、料理を頼み、まずビールを一杯飲むという流れがとても自然でした。

    ワインの町ではワインを飲み、ビールの町ではビールを飲む。

    それだけのことなのですが、旅先でその土地らしいものを飲むと、食事全体の記憶が濃くなるような気がします。

    ローテンブルクではフランケンワイン。

    ミュンヘンではビール。

    この切り替わりも、今回の旅の楽しさの一つでした。

    ミュンヘンでは土産も買いまくった

    ミュンヘンでは、土産もかなり買いました。

    帰国後に配る土産としては、Ritter Sportのチョコレートをたくさん買いました。ドイツ土産として分かりやすく、値段も手頃で、配りやすいのが良いところです。

    それ以外にも、化粧品関係のものや、ゾーリンゲンの爪切りなど、気がつくといろいろ買っていました。

    ゾーリンゲンと聞くと、やはり刃物のイメージがあります。爪切りまで買うあたり、かなりドイツ土産らしい気がします。

    さらに、自分用には空港でフランケンワインも買いました。

    ローテンブルクで飲んだフランケンワインが印象に残っていたので、帰国後にもう一度飲みたくなったのです。

    結局、このワインは帰国後すぐに飲んでしまいました。

    旅先で飲んだお酒を日本に持ち帰って、家でもう一度飲む。

    これもまた、旅の余韻としてはかなり良いものです。

    最後の朝も、DBアプリで空港へ

    最終日の朝は、ミュンヘン空港へ向かいました。

    朝早くホテルを出る必要があったため、ホテルで朝食は取らず、空港で食べることにしました。

    空港までの鉄道の切符も、DB Navigatorのアプリで購入しました。

    振り返ると、今回の旅行で券売機を使ったのは、最初のフランクフルト空港の1回だけでした。

    あのときは、赤い券売機で迷い、結局駅員さんに聞くことになりましたが、その後はDB Navigatorを使うことで、かなりスムーズに移動できました。

    最初は不安だったドイツ鉄道も、最後にはアプリで切符を買い、空港まで移動できるようになっていました。

    これは、今回の旅行で少し成長した部分かもしれません。

    Netflixは、帰りの便では事前に起動

    もう一つ、帰国前に忘れずにやったことがあります。

    Netflixです。

    行きのフライトでは、iPadに映画をたくさんダウンロードしていたにもかかわらず、機内でNetflixを起動できませんでした。

    どうやら、搭乗前にWi-Fi環境のある場所で一度アプリを起動し、ログイン状態を確認しておく必要があったようです。

    この失敗を踏まえて、帰りの便では、ホテルで事前にNetflixを一度起動しておきました。

    これで帰りの機内では、無事にNetflixの映画を楽しむことができました。

    小さなことですが、長距離フライトではかなり大事です。

    ドイツは教会や寺院の見学料がほとんど無料だった

    今回のドイツ旅行で少し意外だったのは、教会や寺院などの見学料がほとんど無料だったことです。

    ヨーロッパ旅行では、教会や大聖堂に入るたびに拝観料がかかるイメージがありました。

    しかし、今回のドイツ旅行では、教会や寺院に入るだけなら無料のところが多く、気軽に見学できました。

    もちろん寄付箱はありますし、塔に登る場合などは別料金のこともあります。

    それでも、今回の旅で明確に見学料を払った記憶があるのは、ミュンヘンのレジデンツくらいでした。

    美しい教会をふらっと見学できるのは、街歩きの楽しさにもつながっていたと思います。

    最後の街歩き

    ミュンヘンでは、結果的に大きな観光地を次々に回るというより、街の中心部を何度も歩くような過ごし方になりました。

    新市庁舎の周辺、マリエン広場、ホフブロイハウスの近く、ホテルの周辺。

    同じ場所を何度も歩いているうちに、だんだん街に慣れてくる感覚がありました。

    これは、1泊だけの滞在ではなかなか味わえないことだと思います。

    旅の最後にミュンヘンを3泊にしたことで、少し落ち着いてドイツの大都市を楽しむことができました。

    4日目は朝から空港へ向かったため、ミュンヘンで過ごせる時間は実質3日間でした。

    それでも、無理に遠くまで行かず、ホテル周辺を中心に街歩きと食事と買い物を楽しむだけで、十分満足できました。

    むしろ、旅の最後にちょうど良い過ごし方だったと思います。

    今回のドイツ旅行は、フランクフルトから始まり、ヴュルツブルク、ローテンブルク、フュッセンを経て、最後にミュンヘンへたどり着きました。

    小さな町の美しさもあり、大きな都市の楽しさもありました。

    その中でミュンヘンは、旅の締めくくりとして、とても良い都市でした。

    3泊は長すぎるどころか、ちょうど良かったと思います。

    そして最後に残った感想は、かなり単純です。

    ドイツのビールは、やはりおいしい。

    今回の旅で、すっかりそう思うようになりました。


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  • 5-4 ローテンブルク編|中世の街並みとホテル・アイゼンフット


    ドイツ個人旅行11日間の4回目は、ローテンブルク・オプ・デア・タウバーです。

    今回の旅で、妻が特に楽しみにしていた場所のひとつが、このローテンブルクでした。

    日本でも「ロマンチック街道」といえば、必ず名前が出てくる街です。
    中世の街並みがそのまま残っているような場所で、ガイドブックや旅行番組でもよく紹介されています。

    実際に行ってみると、やはり期待を裏切らない街でした。

    ただ、写真で見るのと、実際に石畳の道を歩き、古い建物に囲まれた中で泊まり、食事をするのとでは、感じ方がかなり違います。

    ローテンブルクは、単に「中世の街並みを見に行く場所」というより、
    中世の街並みの中に入り込んで過ごす街
    という印象でした。


    ローテンブルク駅からホテルまではタクシーで

    ローテンブルクへは、ヴュルツブルク方面から鉄道で入りました。

    ローテンブルクの駅から旧市街までは、歩けない距離ではありません。
    ただし、今回泊まったホテル・アイゼンフットは旧市街の中心部にあります。

    つまり、駅からホテルまでは、スーツケースを引いて石畳の道を進むことになります。

    これが、なかなか問題です。

    私は多少なら歩いてもいいと思っていましたが、妻は
    「石畳の中をスーツケースでゴロゴロ行くのは嫌だ」
    という反応でした。

    たしかに、これは正しい判断だったと思います。

    駅に着くと、ちょうどタクシーが1台停まっていました。
    他の乗客はほとんど歩いて旧市街へ向かうようでしたが、私たちは迷わずタクシーに乗りました。

    結果として、ホテルの前まできちんと行くことができました。

    ローテンブルクは旧市街の中に入ると雰囲気は最高ですが、石畳の道をスーツケースで移動するのは少し大変です。
    荷物がある場合は、無理せずタクシーを使うのも十分ありだと思います。

    帰りも、ホテルで事前にタクシーを予約してもらっていたので、問題なく駅まで行くことができました。

    このあたりは、個人旅行では地味ですが、かなり大事なポイントです。


    ホテル・アイゼンフットに2泊

    ローテンブルクでは、ホテル・アイゼンフットに2泊しました。

    ここは、旧市街の中心部にあるクラシックなホテルです。

    立地は非常に良く、街歩きにはとても便利でした。
    ホテルから外に出れば、すぐにローテンブルクらしい街並みが広がります。

    ホテル自体も、近代的で機能重視のホテルというより、古い建物の雰囲気を残したヨーロッパらしいホテルです。

    ロビー、階段、廊下、部屋の雰囲気。
    どこか歴史を感じさせる造りで、街の雰囲気とよく合っていました。

    ローテンブルクのような街では、ホテルも旅の一部になります。

    便利なホテルに泊まったというより、
    ローテンブルクの街の中に泊まった
    という感覚に近かったです。


    ローテンブルクは、やはり歩いて楽しい街

    ローテンブルクは、それほど大きな街ではありません。

    ただ、歩いていて飽きません。

    有名なプレーンラインのあたりは、やはり絵葉書のような景色です。
    ガイドブックやネットで何度も見た構図ですが、実際にその場所に立つと、やはり写真を撮りたくなります。

    ただ、個人的には、有名スポットだけでなく、何気ない路地や建物も印象に残りました。

    少し横道に入ると、人通りが減ります。
    石畳の道、木組みの家、古い看板、花が飾られた窓。

    観光地として整っている一方で、どこか生活感も残っている。
    そのバランスが、ローテンブルクの魅力だと思います。


    1泊ではなく、2泊してよかった

    ローテンブルクは、日帰りでも観光できる街だと思います。
    1泊でも、主要な見どころは十分に回れるかもしれません。

    ただ、実際に行ってみると、ここは2泊してよかったと感じました。

    昼間のローテンブルクは、観光客でにぎわっています。
    それはそれで楽しいのですが、夕方から夜、そして朝になると、街の表情が変わります。

    店が閉まり、人通りが減り、石畳の道に灯りがともる。
    朝はまだ観光客が少なく、静かな街をゆっくり歩くことができます。

    この時間帯を味わえるのは、泊まった人の特権です。

    さらに、2泊すると、街歩きにも余裕が出ます。
    急いで写真を撮って、次の街へ移動するのではなく、同じ街を何度も歩ける。

    ローテンブルクは、そういう過ごし方が似合う街でした。


    2泊目はZur Höllへ

    ローテンブルク2泊目の夕食は、Zur Höllに行きました。

    ここは、事前に調べて気になっていた店ですが、予約サイトには登録がありませんでした。
    そこで、店に直接メールをして予約しました。

    海外個人旅行では、こういう場面が時々あります。

    予約サイトで簡単に取れる店もありますが、そうでない店もあります。
    その場合は、店の公式サイトやメールアドレスを探して、直接連絡する必要があります。

    少し面倒ではありますが、今回のZur Höllは、直接予約して本当に正解でした。

    当日、店はものすごく混んでいました。

    入口付近もかなりにぎわっていて、予約なしで入るのは難しそうな雰囲気でした。
    その中をかき分けて、

    “I have a reservation.”

    と言うと、名前も聞かれず、すぐに席へ案内されました。

    案内されたのは、地下と1階の間にある踊り場のような場所でした。
    そこに1組だけのテーブルがあり、まるで特別席のような空間でした。

    これはかなり良かったです。


    Zur Höllは予約必須だった

    Zur Höllでは、またホワイトアスパラガスを食べ、フランケンワインを飲みました。

    雰囲気も良く、料理もおいしく、価格も比較的良心的でした。
    今回の旅の中でも、かなり印象に残る夕食になりました。

    ここは、行くなら予約しておいた方がいいと思います。

    少なくとも、私たちが行った日はかなり混んでいました。
    予約なしで行っていたら、入れなかったか、かなり待つことになったかもしれません。

    しかも、予約していたおかげで、あの特別感のある席に案内されたのだと思います。

    ローテンブルクで夕食をしっかり楽しみたいなら、Zur Höllは候補に入れてよい店だと思います。
    ただし、予約はした方が安心です。


    ドイツ料理はシェアで十分かもしれない

    今回のドイツ旅行で感じたことのひとつが、料理の量です。

    どの店でも、基本的に一皿の量が多いです。

    日本の感覚で、前菜を一人一皿、メインを一人一皿、さらに何か追加、という注文をすると、かなり多くなる可能性があります。

    特に夫婦二人で行く場合は、料理をシェアする前提で考えた方が良いと思いました。

    Zur Höllでも、2品くらいをシェアするだけで十分満足できました。
    そこにワインやビールを合わせれば、かなり充実した食事になります。

    海外旅行では、ついせっかくだからと注文しすぎてしまいますが、ドイツでは少なめに頼んで、足りなければ追加するくらいがちょうど良いかもしれません。


    今回の旅程はかなり完成度が高かった

    今回のドイツ旅行は、
    フランクフルト2泊、ローテンブルク2泊、フュッセン2泊、ミュンヘン3泊
    という流れでした。

    振り返ってみると、この日程はかなり良かったと思います。

    ヨーロッパ個人旅行では、1泊ずつ移動を続けると、どうしても疲れます。
    荷造り、チェックアウト、駅まで移動、列車移動、チェックイン。
    これを毎日繰り返すと、観光より移動の印象が強くなってしまいます。

    その点、今回は基本的に2泊ずつなので、街を落ち着いて見ることができました。

    ローテンブルクも、もし1泊だけだったら、到着して街を少し歩き、夕食を食べ、翌朝には出発という感じになっていたと思います。

    2泊したことで、昼、夜、朝の街を楽しめました。
    さらに、ホテル・アイゼンフットとZur Höllの両方を体験できたのも良かったです。

    ロマンチック街道を個人旅行で回るなら、この「2泊ずつ進む」スタイルはかなりおすすめです。


    まとめ

    ローテンブルクは、今回のドイツ旅行の中でも、特に「ドイツらしい街並み」を感じられた場所でした。

    石畳の道、木組みの家、城壁に囲まれた旧市街。
    そして、その中心部にあるホテル・アイゼンフット。

    ここに2泊したことで、ローテンブルクの昼、夜、朝をゆっくり楽しむことができました。

    駅からホテルまでは、スーツケースがあるならタクシー利用もおすすめです。
    石畳の道を荷物を引いて歩くのは、思った以上に大変です。

    また、Zur Höllのような人気店は、事前予約しておくと安心です。
    直接メールで予約するのは少し手間ですが、その価値は十分にありました。

    ローテンブルクは日帰りでも見られる街ですが、個人的には2泊して正解でした。

    中世の街並みをただ見学するのではなく、その中で泊まり、歩き、食事をする。
    それがローテンブルクの一番の楽しみ方だったと思います。


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  • 5-3 フランクフルト到着編|長時間フライト後、初日は無理せずホテル飯


    出発前からこだわっていたのが、JALのSKY WIDERと二人掛けの座席でした。

    実際の機内写真だと分かりにくいのですが、JALのSKY WIDERは、通常のエコノミーよりも座席まわりに余裕を持たせた仕様です。詳しい座席仕様はJAL公式サイトでも紹介されています。

    今回のドイツ旅行は、成田からフランクフルトへの直行便で始まりました。
    成田を10時35分に出発し、フランクフルト到着は現地時間の17時45分です。

    直行便とはいえ、ヨーロッパまでのフライトは長時間になります。
    しかも、到着してからは誰かに案内されるツアーではなく、自分たちで空港からホテルまで移動しなければなりません。
    そう考えると、機内でどれだけ楽に過ごせるかは、初日の体力にかなり影響します。

    今回、意外に役に立ったのが、座席下用に買った小さめのバッグでした。

    JALのSKY WIDERは、座席下に比較的ゆとりがあります。
    そこで、そのバッグを前の座席下に入れ、そこに足を乗せる作戦を取りました。

    さらに、自分のリュックもかなり大きめだったので、その上にも足を置くことができました。
    その間に今回買ったクッションを、少しだぶだぶの状態で挟むと、これが思った以上に良かったです。

    もちろん、エコノミークラスなので、完全に楽な姿勢になるわけではありません。
    それでも、足の置き場があるだけで、長時間のフライトはかなり違います。

    逆にいうと、今回いろいろ買ったネックレストなどの便利グッズは、結果的にはほとんど不要でした。
    自分には、足元のバッグとリュック、そしてクッションをうまく使う方法で十分でした。

    次回同じような長距離便に乗るなら、リュックの中身をもう少し詰めて、高さを調整するとさらに良かったかもしれません。
    このあたりは、今回の小さな発見でした。

    一方で、完全に失敗した準備もありました。

    実は今回、Netflixで映画をたくさんiPadにダウンロードして持っていきました。
    長時間フライト対策としては、我ながらかなり準備万端のつもりでした。

    ところが、機内でNetflixを立ち上げようとしたところ、これが起動しませんでした。

    ダウンロード済みだから大丈夫だと思っていましたが、どうやら搭乗前にWi-Fi環境の良い場所で、一度アプリを起動し、ログインしておく必要があったようです。
    ダウンロードしただけでは万全ではありませんでした。

    結局、行きの便ではNetflix作戦は失敗しました。
    その代わり、機内エンタメの映画を観まくることになりました。

    『One Battle After Another』は、正直あまり乗れませんでした。
    『平場の月』は、それなりに泣けました。
    『American Fiction』は、感動するタイプではありませんでしたが、ストーリーがよくできていました。
    一番よかったのは『恋するプリテンダー』でした。シェークスピアを題材にした、おしゃれで軽やかなテイストが自分には合っていて、今回の機内映画ではこれが一番面白かったです。
    『All You Need Is Kill』は、本来なら大画面で観るべき作品だったのかもしれません。機内の画面では、あまり没入できませんでした。

    そんなわけで、座席まわりは快適だったのに、機内ではほぼ一睡もしませんでした。

    フランクフルトに到着したのは17時45分です。
    時刻だけ見れば、まだ少し動けそうにも思えます。

    しかし実際には、到着してから荷物を受け取り、空港からホテルへ移動するだけで、それなりに時間がかかります。
    さらに、機内でほとんど寝ていないので、体力もあまり残っていません。

    ホテルに着いた頃には、すでに「今日はもう無理をしなくていいな」という気分になっていました。

    (フランクフルトのホテル:numa frankfurt bloc


    そこで初日は、街歩きには出ませんでした。
    チェックイン後、すぐ近くのスーパー「Tegut」に行き、ビールとサンドイッチなどの食料を買い込みました。

    ドイツ初日の夕食は、レストランではなく部屋食でした。
    スーパーで買ったビールと簡単な食事を部屋で食べ、そのまま早めに寝ることにしました。

    せっかくドイツまで来たのだから、初日からレストランに行ったり、街を歩いたりしたくなる気持ちもあります。
    しかし、長時間フライトの到着日に無理をしないというのは、個人旅行ではかなり大事だと思います。

    翌日は終日フランクフルトを満喫です。

    (レーマー広場)

    (レーマー広場で夕食)

    翌日からは、フランクフルトを出てヴュルツブルクへ向かいます。
    その先には、ローテンブルク、フュッセン、ミュンヘンと、ロマンチック街道をたどる旅が続いていきます。

    そのことを考えると、初日はスーパーで買った食事を部屋で食べて、早めに寝る。
    これは地味ではありますが、結果的にはかなり正解でした。

    なお、Netflixの失敗は帰りの便でしっかり活かしました。
    帰国日の朝、ミュンヘンのホテルでNetflixにログインしておいたところ、帰りの便では問題なく映画を楽しむことができました。

    海外旅行の長時間フライトでは、映画をダウンロードするだけでなく、搭乗前に一度アプリを起動してログインしておく。
    地味ですが、これは今回の大きな教訓でした。

    そして、もうひとつの教訓は、到着初日に予定を詰めすぎないことでした。

    フランクフルト到着日は、観光らしい観光はしていません。
    それでも、自分たちで空港からホテルへ移動し、スーパーで買い物をし、部屋でビールを飲む。
    それだけでも、「いよいよドイツに来た」という実感は十分にありました。

    旅の初日は、華やかでなくてもいい。
    無理せず体を休めることも、個人旅行では立派な作戦です。


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